Seyfert Galaxies
全文無料公開本書は、セイファート銀河を観測の側から体系立てて解説した、天文観測の教科書です。セイファート銀河は中心核の活動が最も典型的な形であらわれる銀河ですが、本書が書かれた当時、これを主題とした書物は一冊も出版されておらず、一般の天文書のなかに数ページの断片として現れるだけでした。本書はその空白を埋めるために書かれています。
前半では、アンドロメダ銀河の中心核からセイファート自身の観測、そしてクェーサーの発見にいたる、銀河中心核活動の発見の歴史をたどります。続いてセイファート銀河がどのように定義され、捜索され、カタログ化されてきたかを整理し、NGC 1068、NGC 4151、NGC 1275、3C 120 といった個々の天体を形態学的に詳述します。あわせて M 82、M 87、NGC 5128 などの特異銀河も取り上げます。
後半は本書の中核です。セイファート銀河が実際にどう観測されるかを波長域ごとに追い、それぞれで何が観測され、そこから何が読み取れるかを順に積み上げていきます。輝線スペクトルとその輪郭・幅付けの機構、可視および紫外の連続光、赤外輻射、電波、X線。最終章ではこれらの観測を整理したうえで、エネルギー源として提案されてきた各種の中心核モデル、アクリーション・モデル、そして中心核活動の起源という問題を検討します。
巻末の広範な引用文献とセイファート銀河カタログは、読者が自ら観測や研究に進むための参照資料として使えます。
銀河中心核活動の発見は現代天文学のなしとげた最大の業績の一つであり,私達の研究テーマであるセイファート銀河は中でも最も典型的な中心核活動を示す天体として知られています.
セイファート銀河という天文用語は最近かなり一般化しましたが,紹介される内容は明らかに断片的です.一冊の天文書で数ページがこれに割当てられればよい方です.しかし,セイファート銀河がかかえる問題は数ページで解説できるほど簡単なものではありません.セイファート銀河はそれ自身,一つの独立した研究分野であると同時に,電波銀河やクェーサー,さらには銀河の形成・進化とも深く係わっています.セイファート銀河のこの重要性を考えるとき,それを扱った図書が一冊も出版されていないことは天文学の知識としてバランスを欠くと感じるのは著者のみではないと思います.この意味で本シリーズにセイファート銀河が加えられたことは,著者が本巻の執筆者として適不適は別として,銀河天文学の普及のために有意義な企画と言えます.本書が空白の分野を埋めることができるならば,これ以上の喜びはありません.
本書の出版にあたりお世話になりました地人書館の市川正徳氏と,この3年間,励ましつづけて下さった大野陽朗教授,坂下志郎教授をはじめ,北大宇宙物理研究室の皆さん,それに私事になりますが私の妻にも心からの感謝をします.
1982年3月 / 兼古 昇
本書は1983年の出版から40年以上が経過し、再出版の予定もないことから、著者 兼古昇の意向と出版社 地人書館の許可のもと公開しています。教育および研究目的に限り自由にダウンロードいただけます。
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